少し、昔の話をしましょう。
私が画商になってから50年以上とよく言ってきましたが、これから話をするのは今から40年位前の話です。
その頃は日本経済もよくバブルの走りでした。絵を買って下さるお客様も沢山いて、皆が
楽しく盛り上がっていた時代です。この頃は、本当に画廊で昼寝していても絵が売れるような
時代でした。贅沢な話ですが、そのうちに暇だな~と思うようになってきたのです。
そして思いついたのが、副業です。私の家は4人兄弟の男ばかりの家に母と5人暮らしでした。
母は病弱だったので、よく食事の支度を手伝っていました。中でも私は得意気にカレーライスを
作ったら僕が一番うまいぞ!と自慢していたものです。
そんな幼少時代のせいでしょうか?カレーショップをやろうと考えたのです。
画廊をしながらのカレー屋です。六本木にいい物件があり、
そこで「アジンキ」というカレーショップを始めたのです。
立地もよかったこともあり、オープン当初は大盛況でした。
芸能人の方も沢山食べに来てくれました。すっかり私は天狗になり、両立している青年実業家気取りで
TVにでた事もあります。
若い頃というのは、勢いで何でもできると思ってしまうのですから恐ろしいものです。
しかしカレーショップの景気は長くは続きませんでした。だんだんお客様も減っていくようになりました。所詮、素人が作ったカレーです。最初は物珍しくて来てくれたお客様もだんだん来なくなってしまい
ました。それでも、店を起業するための資金は全て返済し5年程、続けたのでしょうか?
やはり二足の草鞋は履いてはだめです。画商を本業として1本でやろうと決めました。
そして今に至っています。今、思い返せばよくあんな事を始めたものだと思います。若気の至りという
ものでしょうか?しかし、それはそれで楽しい思い出でもあったりもしております。
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