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画商になったばかりの頃

2011年12月09日(金)

私が画商になったばかりの頃、知人の紹介で、車で山口県防府まで絵を売りに行ったことがある。

今では、考えられない行動力の凄さに若さを感じて懐かしい。

 

沢山の絵を積み込んで、ポンコツ車を走らせた。

 

 

そこで絵を1点、買ってくれるという。

 

 

「明日、現金を用意しておくので来てください。」

 

 

と言われ、深々とお辞儀をし

 

ウキウキと玄関を後にした。

 

その夜は、嬉しくてたまらなかった事を記憶している。

 

 

翌日、スキップしたい気持ちで再びお客様の家へ

 

 

入ると、どうも様子がおかしい。

 

 

昨日の歓迎ぶりとはうってかわり、暗雲がたちこめている。

 

 

案の定、

 

「君のような若造がこんなに高級な絵を沢山もっているのはおかしい!」

 

 

というのである。

 

私は画商だぞ!必死に集めて来たというのに

 

 

全くひどい話である。

 

 

説明しても、聞き耳も持ってもらえず帰るしかなかった。

 

 

憔悴しきった顔で近くの喫茶店に入ることにした。

 

 

確か名前は「エトワール」だったと思う。

 

 

そこで、コーヒーを注文した。

 

一人ぽっつりいる私が気になったのか

 

 

そこの経営者らしい人が声をかけてきた。

 

 

「遠方から来たの?」

 

 

誰かにこのやりきれない気持ちをぶちまけたくて、

 

 

一部始終を話した。

 

 

なんだか、すっきりした。

 

 

ところがその経営者は、

 

 

「ちょっと見せてご覧よ!」と言うのである。

 

 

何だか、不思議な気持ちでお店に数点並べた。

 

その時だ。

 

先程の返却をくらった絵を指さして、

 

 

「これ、いくらするの?」と聞くのである。

 

 

こんな偶然があっていいのかと思った。

 

 

今でもあの時のことを思うと信じられないのだが、

 

 

値切りもせずにポンと買ってくれたのである。

 

 

そればかりか、さらに2点も注文をしてくれた。

 

 

世の中、何があるかわからないものである。

 

 

地獄から天国とはこのことかと思った。

 

 

後日、注文の絵は羽田から防府の空港まで飛行機とレンタカーを

 

 

使って、お店に届けた。

 

ずっと訪ねたかった事を、その経営者に聞いてみた。

 

 

「何故、ふらりと喫茶店に入っただけの私のような若造から

 

 

絵を買おうと思ったのですか?」と。

 

 

経営者は、「君の目を見て信じたのだよ。」と答えてくれた。

 

 

こんな嬉しい事はありませんでした。

 

エトワールの経営者の名前は畑さんと言った。

 

 

まだ元気に山口県でコーヒーを煎れているのだろうか?

 

ちなみにその絵というのは、東郷青児でありました。

 

画商をしていると

 

 

いろんな出会いがあるものである。

 

 

 

 

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