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今の職業に辿り着くまで

2021年12月22日(水)

私は子供の頃に将来なりたい夢があったわけではありません。
ただ、早く家を出て独立したいという気持ちが強い子供だったかもしれません。
ある時、ラジオから俳優の主役のオーデションがあると流れただけで、
「これだ!!」と一目散に東京まで何の経験もないのに飛んで行ったことがあります。
会場まで行くところまでは威勢がよかったのですが
みんな芝居の稽古をしている人達ばかりで一機に緊張してガタガタ震えがきました。
結果は当然のことながら見事に落選しました。まあ、あたり前ですよね。
それからは、アルバイトでホテルの配膳の仕事もしました。特別給料が良い訳ではなかったので
働きながら、常に何か他に仕事はないかなぁと考えてばかりいました。
そんな時、館山のホテルで、住み込みの仕事があると聞き、
布団を担いで、一人前になった気分でウキウキと出かけた事もありました。
その時の給料が手取りで2万7千円でした。
私は2万円を家に仕送りをし、残りの7千円で暮らす生活でした。
しかしそれではやっていけないので仲間と麻雀をしてだいたいいつも3万円位は稼いでいました。
最初は楽しかった仕事ですが、だんだんと給与が安いので、また何かないかと考え始めました。
そこでふと思いついたのが、兄が画家で東郷青児先生と親しい事を思いだし、
「何か仕事を紹介してもらえないか。」と頼みこみました。
何でもダメ元で進むのが私の人生です。
東郷先生に「私の絵を売ってみたらどうか?」と言われ、
それが売れた時は、今までの給料の何倍にもなるお金を得ることが出来ました。
自分の生きる道はこれだと確信し画商になることを決意したわけですが、
もしも、今まで働いていたところが、ものすごく給料が良かったら、現状に満足して今の自分の人生は
全く別なものになっていたでしょう。
たまたま給料が安かったから、何の未練もなく前に進めたのだと思います。
人生とは面白いものです。

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